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小さいけれど重要な一歩

 

前回に引き続きマイコンの使用例としてLEDを点灯させてみます。

マイコンも今では様々な製品が入手可能ですが、ここで使うのは2000年代にイタリアで開発され、こうした分野の発展を牽引してきたArduino(アルデュイーノ)シリーズの中でも最も小型の製品の一つである"Arduino Nano"です。

 

 

Arduino Nanoはご覧の通り指先サイズのマイコンです。正規品でも3,000円程度、今回使うジェネリック品に至っては1,000円以下で入手する事も可能なコストパフォーマンスが大きな魅力で、USBポートをはじめとした多くのアナログ&デジタル入出力を備えており処理能力も決してあなどれません。今回のようにLEDを点滅させるだけの処理では簡単過ぎてNano側から不満が出そうですが、まずはやってみましょう。

 

マイコンを使い始める際、まずやることは手持ちのパソコンに開発環境(IDE)をインストールする事です。Arduinoをはじめ多くのマイコンは開発や使用が自由なオープンソースの枠組みで作られていますので、IDEも無料で提供されている場合が多くなっています。Arduinoの場合は下記HPからダウンロードできます。

https://www.arduino.cc/en/Main/Software

 

Arduino IDEには簡単なプログラム(Arduino IDEではスケッチと呼ばれます)がサンプルとして添付されていますので、今回はこの中の”Blink"を少しだけ改変して使用する事にします。

 

 

画面上部の"void setup()"から始まる計10行がプログラム本体です。簡単ですね。

最初に出力端子(D12)を指定して、1秒のタイマーを挟みながらLEDを延々とON/OFFするだけのプログラムです。

 

次にハードウェアの準備です。

とは言ってもArduino Nanoの端子に抵抗を経由してLED1個を接続するだけです。

 

接続には”ブレッドボード”と呼ばれる便利な道具を使用しています。

上の写真でArduino Nanoが乗っているいる穴がたくさん開いた白い板がブレッドボードです。 昔はこうした電子回路の試作には導線を半田付けしたり、互いにひねったりして接続する必要がありましたが、ブレッドボードは同じ列の穴が内部で接続されているので、部品や導線を挿し込むだけで試作ができます。

 

(試作段階ではよくある事ですが)接続が間違っていたとしても部品を引き抜いて挿し直すだけです。 もちろん最終的には基板にして半田付けなどをする事になりますが、電子回路試作のハードルを下げたという点で単純ですがすばらしい道具です。これをはじめに考えた人は天才ですね。

 

さてここまで出来たらパソコンとArduino NanoをUSB接続してプログラムを書き込みましょう。うまく繋がればLEDが1秒おきに点滅を繰り返すのが確認できると思います。

これがLEDをチカチカさせる事から通称”Lチカ”と呼ばれる、初めてマイコンを使う人の多くが取り組むプロジェクトです。

 

"Lチカ"ははたかがLEDを1個点滅させただけです。でもLEDの代わりにリレーを接続すれば100Vや200Vといった電圧で動作する装置を動かす事ができます。LEDを赤外線タイプに変更すればエアコンやTVなどリモコンで制御可能な家電のほとんどをコントロールする事もできます。

 

またネット環境さえあれば地球の裏側からでも様々な装置を操作することも出来ます。何らかのイベントを検知してマイコンから直接メールやスマホへの通知を発信する事も容易ですので、ここまで来ればもう立派なIoT機器の仲間入りです。

 

前回書いたように現在パソコンはバーチャルな世界の主役と言えますが、私たちが生活する現実世界に具体的に関わるのは苦手な部分があります。バーチャル世界と現実世界の橋渡しをするという点で、マイコンは小さいけれど重要な一歩を踏み出す足掛かりを与えてくれるのです。