見える化手法

レーザーシート

第4回 「空気の流れ」


私たちが毎日生活をする中で、常に身の回りにありながら基本的には見ることが出来ないものが空気の流れ、いわゆる気流です。

「そよかぜ」と呼ばれるような風速毎秒数メートルの心地よい気流から、台風クラスの毎秒数十メートルの暴風まで、私たちは様々な気流を感じる機会がありますが、竜巻などの例外を除いて直接目で見る機会はなく、一般的には気流は上流から下流へ一方通行に吹き去って行くというイメージで捉えられている事が多いように思います。

 

しかしながら実際の気流はもっと複雑な動きをしており、特にクリーン化の焦点となる閉空間(室内)では壁面や床、様々な構造物によって行き場を制限された気流は、ある場所では停滞し、ある場所では回転し、また合流や分岐を繰り返すという実に複雑な挙動をとる場合が殆どです。(このページ先頭の写真は普通の室内で撮影したものですが、無数の渦が存在している事が確認できると思います)

 

また、改めて言うまでもなくクリーン化の対象となる異物は気流によって動き回るため、異物をコントロールするためには気流をコントロールする事が必要になるわけですが、見えないものをコントロールする事はできません。

ここに気流の見える化の必要性が生まれてきます。

 

昔からの気流見える化の代表的なツールにスモークテスタ(ガラス管に封入された薬剤が空気中の水分と反応して発煙する器具)があります。スモークテスタの煙は塩化物を含み刺激性があるため取り扱いに若干注意が必要で、最近は代用品を使う事が多くなりましたが、こうしたコンパクトな発煙器具は手軽に使えるため、私も常時携行しています。

大空間の気流の全体像を見える化するためには、更に大型の発煙装置を選択する場合もあります。

 

また、異物可視化のページでご紹介した可視化照明は気流の可視化でも威力を発揮します。LEDやHID照明やレーザー光源など用途に応じて選択することで、気流の動きをより明確に捉えることができます。

 

このほかにも、気流の見える化に関連して使用できるツールに、コンピューターを用いたCFD(Computational Fluid Dynamics)と呼ばれるシミュレーション技術や画像解析、様々な測定器を使用しての風速測定、そもそも気流の原動力となる圧力差の測定・管理など気流を取り巻く技術分野は非常に幅広いものがありますので、また今後説明させていただきたいと思います。