見える化手法

第8回 「微差圧計」


以前、見える化手法の第4回「空気の流れ」でも述べさせて頂いたように、異物は(昆虫などの生物を除けば)それ自体では移動することはありませんので、気流などによって製品上に運ばれる事によって不具合となります。

このため気流をコントロールする事はクリーン化にとって重要な条件になる訳ですが、今回はこの気流と表裏一体の事象である圧力の見える化のお話をしたいと思います。

 

まず基本的な話として、気流は連続した2地点間に圧力差が存在する場合に発生します。(ページ先頭図)

このため圧力差の測定と、風速の測定は同じ事象を裏表から眺めているとも言えるのですが、測定の目的によってそれぞれ得意・不得意があり、適切な測定方法を選択する必要があります。

特にクリーンエリアの圧力管理は数Pa(パスカル:圧力の単位)という非常に小さな圧力領域を対象にするため、「微差圧計」と呼ばれる測定器が必要となります。

 

ちなみに、気象データなどで使用される単位hPa(ヘクトパスカル)はPaの100倍ですので、通常の気圧を1,000hPaとすると、1Paの10万倍の圧力の中で私たちは生活している事になりますので、この点からみても数Paの圧力差を検出する微差圧計がいかに微細な圧力領域を対象にする測定器である事がお分かり頂けるのではないかと思います。

 

また、微差圧計の測定レンジも幅広く、数Pa程度の測定が可能なものから、フィルター寿命の判断に使われるような数百〜数千Pa程度の測定が可能なものなどがあり、それぞれアナログ式とデジタル式があります。

アナログ針式のものは従来マノメーターと呼ばれ、クリーンブースの圧力管理に使われてきましたが、近年高機能化と低価格化が著しいのがデジタル式の微差圧計です。

 

このデジタル式の微差圧計を使い、クリーンエリアの圧力変化を見える化すると、問題点が判明する事が少なくありません。

具体的には本来プラス圧力であるはずの場所がマイナス圧力であったり、周期的あるいは突発的な圧力変動を繰り返していたりという問題ですが、こうした事象はこれまで測定したほぼ全ての製造現場で見つかる事から、クリーン化が必要な工場がクリアするべき共通の課題であるのかもしれません。